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完全Hondaワークス体制の初号機

2005/B・A・R Honda 007(B・A・R ホンダ 007[4輪/レーサー])

第3期F1活動の転換期に生み出されたマシン中盤戦から復調し、2回の表彰台を獲得

Text/Racing on  Photos/xpb, Hiroaki Matsumoto, i-dea

2005/B・A・R Honda 007(B・A・R ホンダ 007[4輪/レーサー])

2005年F1世界選手権出場車 No.3 ジェンソン・バトン

フロントウイングは大きなステップドウイングを採用し複雑な3D曲面でウイング各部分はレギュレーション規制値いっぱいまで下げられている。

フロントウイングは大きなステップドウイングを採用し複雑な3D曲面でウイング各部分はレギュレーション規制値いっぱいまで下げられている。

2004年に大いなる飛躍を遂げ、ジェンソン・バトンが表彰台の常連に、そして佐藤琢磨もアメリカGPで3位表彰台に上がるなど活躍したB・A・R Honda。この年はコンストラクターズランキング2位という結果を残したが、ランキング下位のマクラーレンやルノー、そしてウィリアムズらが勝ち星を数えた中、念願の優勝には一歩届かずの2位であったことも事実である。

Hondaはさらなる高みを目指し、優勝そして将来的にチャンピオンを獲得するという目標を達成するため、B・A・Rの株式を買収してB・A・R Honda GPリミテッドを設立。いよいよ完全ワークス体制で2005年シーズンへと臨むことになった。テクニカルディレクターはジェフ・ウイリスが務め、イギリスのブラックレーを本拠とするB・A・R Honda GPとエンジン開発のヨーロッパ前線基地であるHRD、そして日本の本田技術研究所という三位一体での技術体制が敷かれた。ドライバーは前年に引き続きジェンソン・バトンと佐藤琢磨。ヨーロッパラウンドからは元CARTチャンプカーチャンピオンのジル・ド・フェランがスポーティングディレクターとして加わり、組織にもかなり厚みが増してきた。

そのB・A・R Hondaとしてのワークス1号車こそ、このB・A・R Honda 007である。成功した前年度の006を正常進化させ各所の贅肉をそぎ落とし、エアロダイナミクスをより一層追求した改良が施されていた。3リッターV10エンジンも、この年から2レース1エンジン規制という新レギュレーションが施行されたため最高回転数こそ18600rpmまで抑えられたが、コンパクトで軽量、さらに中間トルクの改善によるドライバビリティ向上が図られたという。

個性を主張するフロントウイング。中心部50cm幅での底面はフロアセンター部と同じで良く、ウイング高の制限には含まれないので、ここだけはグラウンドエフェクトを利用できる。同時にコクピット下側への気流を効率よく流す手段にもなっている。

個性を主張するフロントウイング。中心部50cm幅での底面はフロアセンター部と同じで良く、ウイング高の制限には含まれないので、ここだけはグラウンドエフェクトを利用できる。同時にコクピット下側への気流を効率よく流す手段にもなっている。

B・A・R Honda 007のオフテストは、実に浮き沈みの激しいものだった。トラブルが多発し満足に走れないこともあれば、驚くべき速さでフェラーリやウィリアムズを圧倒することも……。周囲は、その性能を図りかねるような状態だった。不安もあり、期待もある。そんな状況下で、2005年シーズンは幕を開けた。

その開幕戦。B・A・R Hondaは予想以上とも言える苦戦を強いられた。まず空力的にセンシティブな傾向があり、セッティングが難しいマシンであることが露呈したのだ。これは“ダウンフォース削減”の名目で変更されたレギュレーションに起因する部分が大きい。

 

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B・A・R Honda 007

2005/B・A・R ホンダ 007[4輪/レーサー]

2005/B・A・R ホンダ 007[4輪/レーサー]

SPEC

シャシー

型番 B・A・R Honda 007
トレッド(前/後) 1460mm/1420mm
ホイールベース 3140mm
全長/全幅/全高 4675mm/1800mm/950mm
車体重量 未発表
サスペンション(前) ウイッシュボーン&プッシュロッドアクティブトーションバースプリング&ロッカー/メカニカルアンチロールバー
サスペンション(後) ウイッシュボーン&プッシュロッドアクティブトーションバースプリング&ロッカー/メカニカルアンチロールバー
ダンパー ショーワ
ステアリング B・A・Rパワーアシスト
トランスミッション 7速ユニット(外装:B・A・R製/内装:Honda & XTRAC製)
ホイール BBS(前:312mm/後:340mm)
ブレーキ アルコン(キャリパー)/カーボンインダストリー(ディスク&パッド)
タイヤ ミシュラン

エンジン

型式 RA005E
排気量 3000cc
形式 自然吸気90度V型10気筒
最大出力 900馬力以上/18500rpm
燃料/潤滑油 未発表

F1 第三期

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