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マルチメイク期を制したカナーンの最強車

2004/Dallara Honda IR3(ダラーラ・ホンダIR3 [4輪/レーサー])

強力なライバル勢を打倒したカナーンホンダに三冠をもたらしたオーバル専用車

Text/Toshiyuki Endo  Photos/Yuki Sawada, Honda

2004/Dallara Honda IR3(ダラーラ・ホンダIR3 [4輪/レーサー])

2004年IRL出場車(スーパースピードウェイ仕様) No.11 トニー・カナーン

細く尖ったノーズ。このウイング類はスーパースピードウェイ仕様だ。ノーズ上面を走る垂直の小さなフィンはスピン時に速度を少しでも落とさせるためのもの。

細く尖ったノーズ。このウイング類はスーパースピードウェイ仕様だ。ノーズ上面を走る垂直の小さなフィンはスピン時に速度を少しでも落とさせるためのもの。

この年のエンジン名称は「HI4R」。トヨタやシボレーといった強力なライバルを相手に、前記したような素晴らしい成績を収め、名機となったエンジンである。2003年からIRLインディカーに参戦したHondaにとっては、2代目のエンジンということになるが、それ以前のCART参戦期約10年のノウハウも継承していることは言うまでもないだろう。

この自然吸気V型8気筒エンジンは、シーズン中に排気量変更措置を受けている。安全面を考慮してのスピード抑制施策によるもので、4月の第3戦ツインリンクもてぎまでは3500ccだったものが、5月の第4戦インディ500からは3000ccに縮小。3500cc仕様の最終戦となったもてぎでHondaに地元でのIRLインディカー初勝利をもたらし、3000cc初戦のインディ500でもHondaの当地初優勝を達成と、前述した素晴らしい成績とともに、HI4RはHondaのアメリカンオープンホイール参戦史におけるエポックメーキングなエンジンとなったのであった(2007年から再び排気量は3500ccに)。

“全戦オーバル”のラストイヤーとなった2004年のHI4Rエンジン。シーズン途中で排気量変更措置を受けながらも16戦14勝(第2〜15戦と14連勝)とライバルを圧倒した。

“全戦オーバル”のラストイヤーとなった2004年のHI4Rエンジン。シーズン途中で排気量変更措置を受けながらも16戦14勝(第2〜15戦と14連勝)とライバルを圧倒した。

当時インディカーのエンジンは、コスト高騰を防ぐため等の目的で、マルチメイクの環境下にありながらも開発領域を厳しく制限されていた。そんななかでライバルを圧倒する成績を挙げたHI4Rには、まさにHondaの叡智が注ぎ込まれている。そして、その速さを最もよく具現化した存在こそが、このチャンピオンマシン=アンドレッティ・グリーン・レーシングのカーナンバー11、トニー・カナーンの“王車”だったのである。

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Dallara Honda IR3

2004/Dallara Honda IR3[4輪/レーサー]

2004/Dallara Honda IR3[4輪/レーサー]

SPEC

シャシー

型番 Dallara Honda IR3
車体構造 カーボンファイバーモノコック
全高 937.5mm
ホイールベース 3050mm
前後トレッド 1962.5mm
サスペンション
(前後とも)
ダブルウイッシュボーン
ホイール(前/後) リム幅10&直径15/同14&15インチ
トランスミッション X-trac製シーケンシャル6MT
車体重量 692.35kg(ドライバー含まず)

エンジン

型式 HI4R
形式 水冷4ストロークV型8気筒DOHC32バルブ
排気量 3500cc(第3戦まで。第4戦から3000cc)
最高出力 675ps以上
最高回転数 10300rpm
シリンダーボア 93mm
クランク角度 180度
乾燥重量 127.12kg

その他

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