モータースポーツ > Honda Racing Gallery > その他 > Reynard 96I Honda
これだけ勝った年なのだから、インディ500もHonda勢の誰かが勝ったのだろう、と思いたくなるところだが、そこには分裂期初年度という“状況”が介在しており、実現は不可能だった。インディ500は、この年からIRLが発足させた方のシリーズに含まれていたのだ。というよりはインディ500の舞台であるインディアナポリス・モーター・スピードウェイが主導となってIRLのシリーズを立ち上げた経緯もあったのだから、やむを得ない。CARTはインディ500と同日程で「US500」という500マイルのオーバル戦を組み(第6戦)、対抗するようなかたちとなった。
ちなみにこのUS500、スタート前のパレードラップ中にポールのバッサーと予選2位のフェルナンデスが接触し、10台以上が絡むマルチアクシデントに発展という珍事が起きている。再スタートにはスペアカー出走となった者も多かったが、フェルナンデスは出走が叶わず、バッサーは最終的に優勝というHonda勢同士の明暗もあった。
参戦3年目での栄冠、草創期におけるHondaのインディ・プロジェクトを統括する立場にあった朝香充弘は当時、こう語っている。「念願のマニュファクチャラー王座を獲得できて、本当に嬉しい。3年目にタイトルを、という目標も達成できました。日本の開発陣、アメリカのHPD(Honda Performance Development)、協力メーカーのみなさん、そして各チーム、各ドライバー、全員が最大の力を発揮してくれたからこその結果です。各チームと各ドライバーが、Hondaのチャレンジングスピリットを理解してくれました」
96年開幕時点ではHondaの4チーム6人は、完全無欠のトップチームでもなければ、バリバリのトップドライバーでもなかった。自分たちも含めて実績豊富とはいえない、チャレンジングな布陣でつかんだHondaのアメリカ初王座。実にHondaらしさに満ちた内容での頂点奪取であり、赤く輝くレイナード96I・Hondaは、今も当時の彼らの鋭気を照らし出しているかのようである。
型番 | Reynard 96I |
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車体構造/材質 | モノコック/CFRP |
全長×全幅×全高 | 4954mm/2038mm/954mm |
ホイールベース | 3050mm |
トレッド(前/後) | 1760mm/1640mm |
サスペンション(前/後) | 上:Aアーム 下:Aアーム/プッシュロッド式インボードスプリング |
タイヤサイズ(前/後) | 10.00-15/14.00-15 |
燃料タンク容量(USガロン) | 40 |
トランスミッション | 縦置き6速MT |
車体重量 | 705kg |
型式 | HRH |
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形式 | V型8気筒 |
排気量 | 2646cc |
ボア×ストローク | ― |
圧縮比 | ― |
最高出力 | ― |
燃料供給方式 | ホンダ電子制御燃料噴射 |
スロットル形式 | 8連スロットルバルブ |
過給機 | ターボチャージャー×1(45inHg制限ポップオフバルブ付) |