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捲土重来、JTCC最速最強の名車

1996/JACCS ACCORD(ジャックス・アコード[4輪/レーサー])

34連敗を跳ね返し投入初年度で戴冠最速の誉れ高い究極のツーリングカー

Text/Racing on  Photos/Hidenobu Tanaka, Honda, SAN'S

1996/JACCS-ACCORD(JACCSシビック[4輪/レーサー])

1996年全日本ツーリングカー選手権出場車 No.14 服部尚貴

シビック・フェリオよりも薄く長く流麗なサイドフォルムのアコード。極限まで下げられた車高とミシュランタイヤの武器であった19インチの巨大なホイールが目を引く。

シビック・フェリオよりも薄く長く流麗なサイドフォルムのアコード。極限まで下げられた車高とミシュランタイヤの武器であった19インチの巨大なホイールが目を引く。

1994年にグループAの後を継いで始まったスーパーツーリング(当初はニューツーリング)カー規定による全日本ツーリングカー選手権の略称がJTCC。Hondaは前身の同名選手権(略称はJTC)に歴代シビックを投入、大活躍を演じていたことからJTCCへも継続参戦することを決定、初年度の94年には6台のシビック・フェリオを送り込んだ。JTCでのシビックは最終年の93年までに総合優勝1回を含むクラス優勝36回、7年連続メーカー別シリーズチャンピオン獲得と圧倒的な戦績を残していた。FFレイアウトの量産車ベース車両に2000ccエンジンを搭載するJTCCとなってもHondaのアドバンテージは揺るがないと、誰もが思っていた。

ところがシビック・フェリオは、JTCCでは予想外の敗戦が続いた。初年度は1勝もできず、2年目の95年シーズンも抜本的な改善策が採られることもないまま、ただ黒星を積み重ねてしまっていた。これに対しHondaは現状の問題点を洗い出し、車体設計からエンジン、空力に至るまですべてのポイントを見つめ直すこととし、プロジェクトリーダーにはかつてターボ時代のF1でエンジン設計を務めた北元徹を就けた。北元は根本的な対策を一から施すべく、ベース車両の選定から見直すこととした。シビック系を諦め、勝つためにアコードをチョイスするのだ。北元は「ドマーニなど、他のクルマは最初から眼中になかった。アコードなら車高を極限まで下げられるし、全体の剛性も高い。図体は大きくなってしまうが、その分余裕ができる」と語っている。

市販車の面影を残しつつも改造範囲はJTC時代よりも広く、各所にカーボンパネルが貼られて軽量化を図っている。トランスミッションはシーケンシャル6速となり、デジタルレブカウンターがドライバーの眼前に配される。

市販車の面影を残しつつも改造範囲はJTC時代よりも広く、各所にカーボンパネルが貼られて軽量化を図っている。トランスミッションはシーケンシャル6速となり、デジタルレブカウンターがドライバーの眼前に配される。

シビック・フェリオがあくまで「グループA(JTC)の延長」で作られていたのに対し、アコードは当初から最強のツーリングカーを目指していた。各所からの要求を高次元で妥協なくクリアすべく、アコードは設計当初から勝利を目指して作られた。たとえばフェリオのエンジンは当初、扱いやすさを重視してロングストローク方向に振られたB18C型という1800tのものをベースにしていた。しかしスプリントレースのJTCCでは低回転からの立ち上がりトルクよりも高回転での出力ピークの方が重要で、高回転・高出力でなければ勝てなかった。そこで94年シーズン途中から市販車のプレリュードなどに載るH22A型での開発が始まり、95年中に一部マシンへテスト搭載された。H22A型は当時の主力であるリバースヘッド方式であり、ショートストローク/高回転の要求にも応えた。

北元は設計陣への意識改革も行なった。「グループAの延長」という思い込みの枠を外させ、かつてラルトというシャシーコンストラクターを率いてHondaのF2挑戦を支えた名エンジニア、ロン・トーラナックをアドバイザーとして招くなど体制を整えた。トーラナックは旧来フロアから伸びていたシフトレバーの位置をステアリングに近づけ、いわゆるコラムシフトタイプにすることを進言。また設計段階から『ここでは力がちゃんと受けられていない』と図面レベルで指摘するなどし、各パートに分かれていた設計作業を1台のレーシングカーとしてまとめ上げる作業を統括した。

そうして96年、Hondaの新JTCCマシン、アコードが実戦にデビューした。競技車両のコードネームは「1X」とされた。アコード1Xは圧倒的な速さを示し、それまで続けていた連敗を食い止めたばかりか、ライバルを蹴散らして開幕6戦中5勝を挙げるなど大活躍をみせた。なかでも最速のエースとしてシーズンを引っ張ったのがこのカーナンバー14、服部尚貴のJACCS ACCORDである。服部は富士スピードウェイでの開幕2連勝の後も第4戦SUGO、第5戦鈴鹿、第11戦十勝でも勝利。3度の2位もあり、抜群の安定感で自身初となるシリーズチャンピオンへ向けひた走った。

 

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JACCS-ACCORD

JACCS ACCORD[4輪/レーサー]

JACCS ACCORD[4輪/レーサー]

SPEC

シャシー

型番 CD6
全長×全幅 4675×1760mm
ホイールベース 2715mm
トレッド(前/後) 1530/1535mm
サスペンション(前後とも) ダブルウィッシュボーン
駆動方式 前輪駆動
タイヤ ミシュラン製19インチ
トランスミッション ホンダ製6速シーケンシャル
車体重量 975kg以上

エンジン

型式 H22A
形式 水冷直列4気筒DOHC
排気量 1995cc
ボア×ストローク 88.0mm×82.0mm
最高出力 300ps以上/8500rpm
燃料供給方式 PGM-FI
過給機 なし(自然吸気)

その他

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