モータースポーツ > Honda Racing Gallery > F1 第二期 > McLaren Honda MP4/7A
第13戦イタリアGPで、Hondaはこの年限りでのF1活動休止を発表する。メディアからコメントを求められたセナが涙したことは有名なエピソードだ。とはいえ、Hondaは最後まで開発ペースを緩めることはなかった。日本GP用の“鈴鹿スペシャル”エンジンはもちろんのこと、撤退発表をしたそのイタリアGPには、マクラーレンとHondaが共同開発したアクティブサスを試験的に導入する。
このシステムはウィリアムズのそれよりも複雑な代物だった。FW14Bのシステムの基本動作はパッシブサスが行ない、それを補佐するかたちでアクティブシステムが発動するシンプルで実用性の高いものだったが、マクラーレンが追い求めたものは完璧なる“フルアクティブ”で、アクチュエーターがすべてのバンプに対応することにより、理論的には究極のパフォーマンスを得られる目論見だった。しかし、現実的にポンプを動かすための動力をエンジンから得なければならず、エンジンパワーのロスが予想外に大きかった。ライドハイト、サスペンションコントロール、ダンピングなどの制御をすべて油圧システムに頼り切っていたために、エンジンパワーの多くがそこに奪われることになった。もちろんセナはこのシステムを気に入らず、初日のフリー走行を走っただけでお蔵入りとなってしまう。
この年、アクティブサスを武器に勝ちまくったウィリアムズにタイトルこそ奪われたが、Hondaとマクラーレンは意地を見せ、最終戦オーストラリアGPに持ち込まれたMP4/7AのポテンシャルはFW14Bに匹敵するものとなっていた。レースではセナがマンセルにプレッシャーを与えるという、シーズン序盤では考えられなかった展開となった。結果的に両者は接触しリタイア、代わってリーダーに立ったパトレーゼまで消えたことでトップチェッカーを受けたのはベルガーだった。Hondaは第2期のラストレースで有終の美を飾り、通算71勝目を刻んだ。安岡章雅プロジェクトリーダーの「最後にまたひとつ勝てました」という言葉が印象的だった。
型番 | McLaren Honda MP4/7A |
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車体構造 | カーボンモノコック |
全長×全幅×全高 | 4496×2120mm×990mm |
ホイールベース | 2974mm |
トレッド(前/後) | 1824/1669mm |
サスペンション(前後とも) | プッシュロッド/ダブルウイッシュボーン |
トランスミッション | マクラーレン製横置き6速セミAT |
車体重量 | 506kg |
デザイナー | ニール・オートレイ/アンリ・デュラン |
型式 | Honda RA122E/B |
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形式 | 水冷75度V12 DOHC 4バルブ |
総排気量 | 3496cc |
ボア×ストローク(mm) | 88.0×47.9 |
圧縮比 | 12.9 |
最大出力 | 774bhp/14400rpm |
燃料供給方式 | PGM-FI 電子制御シーケンシャルインジェクション |
スロットル形式 | 12連バタフライ式スロットルバルブ可変吸気管長システム |
重量 | 154kg |