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7連覇の出発点を刻んだ全勝劇

1987/MOTUL 無限 CIVIC(モチュール・無限・シビック[4輪/レーサー])

JTCを代表する最強名車シビック中子修/岡田秀樹がタイトル獲得

Text/Akihiko Ouchi  Photos/Hidenobu Tanaka, SAN'S

1987/MOTUL 無限 CIVIC(モチュール・無限・シビック[4輪/レーサー])

1987年全日本ツーリングカー選手権出場車 No.16 中子修/岡田秀樹

軽量かつコンパクトで高回転型という、いかにもJTC向きなZC型エンジン。ライバルであるトヨタの4AG型には信頼性の面で及ばない部分もあったが、開発の進んだこの87年には性能面と信頼性の双方で上回ってみせた。

軽量かつコンパクトで高回転型という、いかにもJTC向きなZC型エンジン。ライバルであるトヨタの4AG型には信頼性の面で及ばない部分もあったが、開発の進んだこの87年には性能面と信頼性の双方で上回ってみせた。

結果、中子/岡田は前年の不振を吹き飛ばす快走を開幕戦から披露して独走。第1戦の西日本から全6戦で全勝という、前代未聞の快進撃を見せて完全制覇を達成するのであった。ドライバーズタイトルはもちろん、マニュファクチャラーズ(メーカー部門)のシリーズランキングでも当然のように1位を獲得。まさにシビック16号車圧勝のシーズンとなった。

この圧勝劇を皮切りにシビックはふたたび連勝街道を進むこととなり、翌88年も中子/岡田の駆るMOTUL 無限 CIVICは2年連続でタイトルを獲得。第2戦の西日本戦からは4代目となる新型ボディ(EF3型)を投入し、さらなるステップアップを実現。くしくもライバルのトヨタが同時期に主戦車両をカローラFXからカローラ・レビン(AE92型)に切り替えており、シビックvsカローラの対決は新たなステージへと突入していたが、開発段階からグループAレースでの勝利を視野に入れていたとされるシビックの優位は揺るがなかった。ただし5勝したシビックの内訳は無限が2勝、ナカジマレーシング2勝、TRAMPIO1勝というもので、中子/岡田組は2年連続でクラス3(この年から1600cc以下をクラス3と呼称変更)を制したものの徐々に「シビックの敵はシビック」と言える様相を呈してきた。

こうしてAT型シビックはJTCで通算12勝を挙げ、最小排気量車での総合優勝やシーズン全勝、ダブルタイトル獲得という偉業を残してを88年シーズン途中に一線を退いた。タスキは後継EF型ならびにEG型へと繋がれ、87年以後、シビックはマニュファクチャラーズタイトルを連続7シーズンにわたって獲得した。85〜93年のJTCにおける通算勝利数は実に36にも及んでおり、AT型も立派にこの数字へ貢献していることが分かる。連覇劇の裏側にはもちろん絶え間ない開発の積み重ねがあり、これが何度も主戦車種を変更してきていたトヨタ勢との大きな差となったことは間違いない。最終シーズンとなった93年時、エンジンの出力は230psにも達しており、この間、いかに開発競争が激しかったかを物語っている。 

グループA全9シーズンでシビックがもたらしたタイトルはドライバーズ5回、マニュファクチャラーズ7回という圧倒的なもの。Hondaが標榜する最先端、最高峰の技術は量産車の分野でも証明される結果となった。

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MOTUL 無限 CIVIC

1987/MOTUL 無限 CIVIC[4輪/レーサー]

MOTUL 無限 CIVIC[4輪/レーサー]

SPEC

シャシー

型番 E-AT
全長×全幅 3810×1630mm
ホイールベース ───
トレッド(前/後) ───
サスペンション(前/後) ストラット/車軸
駆動方式 前輪駆動
タイヤ(前/後) ブリヂストン製 185/580R15/155/580R15
トランスミッション 5MT
車体重量 780kg

エンジン

型式 ZC
形式 水冷直列4気筒DOHC
排気量 1595cc
ボア×ストローク 75×90o
最高出力 180ps/7500rpm
燃料供給方式 ───
過給機 なし(自然吸気)

その他

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