モータースポーツ > Honda Racing Gallery > F1 第二期 > Williams Honda FW11B
前年型FW11と同じカラーリングから受ける印象と同様に、進化発展型と言えるFW11B。実際にはホイールベースや前後トレッド寸法も変更されたニューマシンである。同年出走の他車と比べると、ロールバーの低さは特筆すべきもの。
前年に初のコンストラクターズタイトルを獲得したものの、劇的な幕切れとなった最終戦でドライバーズタイトルを取り逃がす格好となったウィリアムズ・ホンダは1987年、今度こそダブルタイトルを獲得すべく、FW11の発展改良型であるFW11Bを送り出した。引き続きネルソン・ピケとナイジェル・マンセルの手に委ねられたこのFW11Bは外観上のフォルムこそ86年のFW11と酷似しているものの、実際はモノコックから新たに作り直された完全なるニューマシンである。
シンプルなコクピット。右はシフトノブ、左はスタビライザー調整レバー。スタビ調整レバーの奥にシャシープレートがあり、8号車と刻まれている。この個体は計8台がつくられたFW11Bの最終仕様であり、終盤戦のポルトガルGPとスペインGPでマンセルの本戦車として、最終戦オーストラリアGPでピケの本戦車として走った経歴をもつ(アクティブサスは非搭載)。タコメーターは14000回転まで刻まれている。
改良の主眼点はエアロダイナミクスだった。FW11に比べるとFW11Bはモノコックのバルクヘッド形状を変更してドライビングポジションを寝かせ、ドライバーのヘルメットの頂点の位置を下げたことが特徴となっている。これによってヘルメットの頂点よりも高い位置に装着しなければならないロールバーの高さも低くすることが可能となり、リヤウイングへのエアフローを向上させているのだ。小柄なピケはもともとヘルメットの頂点位置が低く86年から小型のロールバーを使用していたため、どちらかと言えばこれは大柄な体躯のナイジェル・マンセル用の改良策と言えた。このシーズンのウィリアムズはまた、ライドハイト制御を目論んだ簡易的なアクティブサスペンションも積極的に開発を進めており、シーズン全戦を通しての実戦採用こそなかったものの、イタリアGPではピケがこのアクティブサス搭載車で優勝を果たしている。
一方、87年用Honda製V6ターボエンジン、RA167Eの課題は、この年から導入されたポップ・オフ・バルブ対策だった。ポップ・オフ・バルブとは、度重なる燃料総量規制でもターボパワーの増大を抑えられないと見たFIAが、機械的にターボチャージャーの過給圧を4バールまでに抑えるために導入した装置のこと。Hondaはこのポップ・オフ・バルブ対策として吸気温度コントロールシステムを導入。使用していた特殊燃料の気化性に考慮し吸気温度を適温に制御することで燃料の充填効率を上げ、前年型のRA166Eよりもさらに高回転&高圧縮化に成功、予選仕様で1000馬力オーバーという途方もないスペックを絞り出した。Hondaの技術の前に目論見が外れたFIAは、翌88年を前にさらなる過給圧規制と燃料規制に乗り出すことになる。
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![1987/Williams Honda FW11B(1987/ウイリアムズ・ホンダ FW11B[4輪/レーサー])](../../images/detail/fw11b/sub_image.jpg)
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| 型番 | Williams Honda FW11B |
|---|---|
| 車体構造 | カーボンファイバーモノコック |
| 全長×全幅×全高 | 未発表 |
| ホイールベース | 2845mm |
| トレッド(前/後) | 1778/1625.6mm |
| サスペンション(前後とも) | ダブルウイッシュボーン+インボードスプリング |
| タイヤ(前/後) | 12-13/16.5-13インチ |
| 燃料タンク | 195リットル |
| トランスミッション | 縦置き6MT |
| 車体重量 | 540kg |
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| 型式 | RA167E |
|---|---|
| 形式 | 水冷80度V6DOHC24バルブ+ツインターボ |
| 総排気量 | 1494cc |
| ボア×ストローク | 79.0mm×50.8mm |
| 圧縮比 | 未発表 |
| 最高出力 | 1050ps以上/11600rpm |
| 燃料供給方式 | PGM-FI 2インジェクター |
| 点火装置方式 | CDI |
| 過給機 | ターボチャージャー×2基 |
| 潤滑方式 | ドライサンプ |