モータースポーツ > Honda Racing Gallery > F1 第一期 > Honda RA301
エンジンはRA300で使われた3リッターV型12気筒のRA273E型をベースとし、新たにRA301E型を開発、投入した。吸排気の方向をバンク内側吸気/外側排気方式に改め、パワーテイクオフ方法や補機類の構成も改めた完全新設計とした。またV型6気筒を2基連結するこれまでの構造から片バンクを直列6気筒配置とする方式に変更。より高速回転に向く構造とし、最高出力も440psにまで引き上げられていた。
さらに空力時代の幕が開いた68年のF1でHondaも空力デバイスの開発競争に追随し、第4戦ベルギーGPではテールスポイラーを装着。本格的なウイングは第7戦イギリスGPから投入されたが、整流板を持つウイングをメインの支柱と補助ロッドで支える方式では剛性が足りずレース中に支柱が折れるトラブルも発生。第6戦フランスGPからは様々な形状のノーズフィンをトライ。最終戦メキシコGPでは先端の広いノーズフィンを装着。カウリングには2カ所のエアアウトレットを設けた。
そうして残ったリザルトはサーティースが11戦して1回のポールポジションと2位、3位、5位をそれぞれ1度ずつ記録したものの残る8戦はすべてリタイアという、やや確率の低いレースを送った。年間ランキングではドライバーズ7位タイ(前年は4位タイ)、コンストラクターズ6位タイ(同4位タイ)という結果だった。またRA302はシーズン中に2号車が出来上がり、スポット参戦でデイビッド・ホッブスとヨアキム・ボニエが1度ずつ走らせ、ボニエが最終戦メキシコGPで5位に入っている。
RA301はRA300までのマシンたちで生じてきていたネガ潰しに成功し、集大成と言えるマシンだった。RA300に比べ、全体性能は確実に引き上げられていたと言える。しかしフォード・コスワースDFVエンジンが一般に広く供給されことで搭載車が増え、相対的な戦力は下がり気味であった。期待された勝利を挙げることは叶わず、結果としてHondaの第1期F1活動の幕引きを担う1台となってしまうのだった。