モータースポーツ > Honda Racing Gallery > F1 第一期 > Honda RA271
リヤサスペンションはコイルスプリングをシャシー側に置くインボードスプリングを採用した。RA271のレイアウトは複雑な機構にはなったが、風洞実験で空気抵抗の10%低減(RA270比)が確認できていたという。
RA271のデビューレースは64年8月の第6戦ドイツGP。その1カ月前にはシェイクダウンを行なっている。ドライバーとして起用されたのはF1では無名の若手、アメリカ人のロニー・バックナム。13位で完走扱いとなるもトラブル連発で、特にオーバーヒートが重大だった。その後イタリア、アメリカに出場し、ここでもリタイア。リザルトだけを見れば3戦に出場し2戦でリタイア=無得点という結果に過ぎないが、されど3戦。この3戦を通じて対策箇所の洗い出しを行ない、随所に改善点を追加している。たとえば2戦目のイタリアGPからは燃料システムをデビュー戦のキャブレター仕様(京浜製)から燃料噴射式に変更し、モンツァ用に高速型ノーズカウリングも採用。ほかに3戦目のアメリカGPではふたたびノーズカウリングの形状改修を行ない、オイルクーラーを追加した。ブレーキダクトの大型化も同時に行なわれた。この積み重ねが65年車「RA272」で活きた。熟成進んだマシンとエンジンはRA272として翌年の最終戦に結実することとなり、65年メキシコGPでホンダはドライバーのリッチー・ギンサーとともに初優勝を遂げることとなる。